いじめサバイバー長野峻也さん(武術家)の体験その1

私のイジメ体験その1「中学校時代」
長野峻也(しゅんや)

私は、武術を40年くらい修行してきて、現在、作家活動をしながら武術の道場をやっています。
私の道場に習いに来ている人には、空手や合気(あいき)道、居合(いあい)道などの先生もいます。
どうして、先生が習いに来ているのか?というと、私が日本で最も武術にくわしい人間だとウワサが広まったからです。
そして、このウワサは、たぶん、本当です。
空手・中国武術・剣術・棒術・手裏剣術・・・と、習った武術はざっと70種類以上。
教わった先生も20人以上います。
それだけやっていたら、さぞ強いのだろう・・・と思われるでしょう?
でも、自分では、大して強くなっているとは思っていません。
カメハメ波や元気玉が出せるわけでも、不死身のカラダになったわけでもなく、「人間のカラダって、こんな簡単にこわれるんだな~?」という知識がふえたので、「スキをつかれて急所(きゅうしょ)にくらったら、簡単にやられてしまう」と思うと、とても強くなった気にはなれません。
技はたくさん知っていますが、ただそれだけでしかありません。
思っていないから、いまだに、もっともっと上達したい!と思って続けているのですが、ま~、「やってて楽しいから」ということですね。
どうして、こんな人間になったのか?と考えると、きっかけは、中学時代のイジメ体験でした。
小学校の時も、イジメを受けたり友人をイジメたりしたこともありましたが、それは遊びの中で、ふざけていただけでした。そんな深刻(しんこく)なものじゃありませんでした。
しかし、中学に入学すると、まるでマンガでえがかれるような暴力学級になり、本当におどろきました。
40年前、それは「校内暴力」と呼ばれはじめていました。
私の学校が特別ではなく、全国で校内暴力がおこっていたそうです。
が、現実に自分にとっての毎日が不良たちと同じ教室で過ごさねばならないのは、本当にユウウツで、早退して家に帰ったり、ズル休みしたりもしたものでした。
具体的なことを書いた方が参考になるのかもしれませんが、思い出したくないんです。
あまりにも事件が多すぎて、キリがないですし、悪口をいわれるとかそういうのじゃなくて、今だったら、ふつうに警察が呼ばれる話でしょうから。
殴る蹴るなんか当たり前。女の先生の授業は、先生が注意しても逆に殴られて泣きながら職員室に逃げていき、男の先生がこわい顔でやってきて、殴った不良を鼻血が出るほどブン殴る・・・そんな毎日でした。
特別、私がイジメられたというより、おとなしい男子は全員、不良れんちゅうにイジメられていたのです。
音楽の授業は三年間で一度もまともにされませんでしたが、それは新米の女の先生だったからです。私たちより先生がつらかったと思いますよ?
けれども、中学生でもプライドがあって、イジメを受けていることを親に相談したりはできませんでしたね。
本気で自殺したいと思うくらい悩んでいたのに、親には相談できませんでしたね。
兄貴や弟にも黙っていたと思います。
今の人たちはどうでしょう?
相談できるでしょうか? 相談する人がいるんでしょうか?
私が男だったからでしょうか? 女子だったら、友達や親に相談したのか?
もう、ずっと昔のことだから、その時の気持ちは忘れてしまいました。
ただ、一つだけ、「自分を守れるのは自分だけだ」と、心の底から思いました。
だから、私は武術を練習しはじめたのです。
(その2「中学校時代~反撃」に続く)


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